「シンゴジラ」感想そして「春と修羅」。細部に神が宿ってる

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photo credit: At the Movies via photopin (license)
先日シンゴジラを観に行きました。

シンゴジラすごい
とにかくすごかった

まず初めに言っておくと、私は今まで映画評論なんてしたこともないし、感想文なども久しく書いていない。(普段このブログでも書評はほとんど書いてない)

夫のように大学四年間特撮の研究をしていたような人と違い、ゴジラの過去作品はほんの数作しか観たこともないし。(一作目とメカゴジ、ビオランテ、モスラ(92)、ハリウッドゴジラくらい)

だから、仮に映画の感想を書いたとしても深い考察には至りにくい点ご承知おきください。

それでも、感想を書かずにはいられない。そんな気持ちに突き動かされる。させられる。そんな映画でありました。

※※※※※ネタバレ有り!!注意!!!※※※※※

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シンゴジラとは?個人的な感想。

シン・ゴジラ

2016年7月29日全国公開。ゴジラ作品29作目。実に12年ぶり。総監督及び脚本は「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明監督の映画。

公開2週目にして興行収入21億円突破。「ファインディング・ドリー」を抜いて2週連続1位の快進撃を続けている話題作です。

話題作だけに賛否両論巻き起こり、「シンゴジラ 感想」を検索するのが楽しい。個人的な感想をこの度私も書いてみることにしました。

※※※※※以下、ネタバレ!!!!※※※※※

フィクションに思えないリアル感

怪獣映画と言ったら「突然怪獣が表れて人間が逃げ惑って兵器で対抗して・・・」というお決まりの展開だけれど、今回のシンゴジラは特に、「今、今日この日本にもし怪獣が来たら・・・本当にこうなるんだろうな」という臨場感の凄みを感じました。

「架空(虚構)を表現することはそれ以外がとことんリアルでないと表現しけれない」

と聞いたことがあります。(ダリの溶ける絵とかいわゆるシュールレアリスム)。シンゴジラの映画もそれが言えるのだと思いました。

いや、他のゴジラ作品だって全くリアルじゃないとは言えないのですが、一作目以外はどうしても「ゴジラのいない世界の自分」と「ゴジラのいる世界の映画」とで一線を感じるのです。(それはそれで面白いんですが)

ゴジラのいない世界

一作目のゴジラを除いて他の作品は基本的に「すでにゴジラがいる世界・体験した世界」の住人が、ゴジラと対峙をするという世界観を描いているんですよね。(←例外の作品はあると思います、すみません)

「ゴジラといえばあの大きくて恐竜のような姿で・・・」という共通認識が、ある程度存在する世界。

しかし一作目と今回のシンゴジラは違う。だから一作目のゴジラ同様最初から名前がついていないし自分のこの目で見るまでは信じられないような事案。

細部に神が宿る

各省庁、自衛隊、様々な機関への綿密な取材を重ね、それでも知り得ない情報も徹底的に調べ上げたそうです。例えば閣僚の部屋のレイアウトとかは、政治家のブログを参考に数百枚もの画像を張り合わせて検証したりしたんだとか。

家電量販店でほぼ全ての局でゴジラ特番をしているのに、テレ東と思しき一局だけアニメ(どうやら安野モヨコの作品っぽい)をやっていたりも妙にリアル。

使っているパソコンが政府系→富士通、研究者系→Macだったり。

一回目のゴジラが一度去った後、デモが起きてたり。

ネットで様々な感想やスレッドを読むと、新たな発見もあり楽しいです。

一作目ゴジラの現代版。「戦後」と「震災後」「水爆」と「原発」

オープニングでいきなり黒い背景に白い文字がどーん!一作目はその後たしかクレジットが入りますが、その後の冒頭シーンは海から始まり・・・ここはあえて一緒にしているんでしょうか。

1954年、ゴジラは、戦後の爪痕・がまだまだ色濃く残るこれからの日本が不透明な時代。

そういった国全体の不安感は、3.11東日本題震災を経験した今の日本も大変近い感覚だと思います。

戦後と震災後。水爆の問題と原発の問題。

そして誰もが想像し得ない脅威が襲いかかる。最初は誰もが、信じることができないけれど、襲いかかる脅威を受け入れざるを得ない状況。

まだ、原発のニュースも今後どうなってしまうかが不透明過ぎて、これから自分の命はどうなってしまうのか?という不安。

3.11の原発のニュースを聞いて感じた不安な気持ちが思い出されて、映画の最初の方はガクガク震えました。

ゴジラの第二形態は今まで見たことのないビジュアルが不気味で、より不安感が増しました。

ニッポン対シンゴジラ

今回の映画は政府の人間が主人公。『国防』にスポットが当たっています。

最初は、とにかく日本の形式的な有事の進め方のマイナス面が描かれます。

政府で情報キャッチ→会議を開くための会議(結論ありきの会議)→形式的な会議。定形外の言動を発することが出来ない空気とか・・・。お役所仕事の風刺が効いてます。

「一人の一存でなく全体として意見を作る」日本の姿ならではのような。

しかし後半では逆にそんな日本の、「全体で知恵を出し合い作戦を練り遂行していく」プラスの面が働き、ゴジラとの対峙に活路を見出すことになります。

石原さとみのセリフで、

「私の国では大統領が決める。あなたの国では誰が決めるの?」

というセリフがありましたが、どちらが優れているとか優れていないとかではなく、日本には日本のやり方があり、そんな日本のやり方(皆で協力して任務【ゴジラを倒す】遂行する)でゴジラと対峙する。

まさに、ニッポン対シンゴジラ。そんな気がしました。(個人的に)

ゴジラの悲しさ

自己再生と崩壊を繰り返しながら進化していくゴジラ。

人間ではないので、痛覚があるかは分かりませんが、初めて熱線を「吐き出す」シーンはそれはそれは苦しそうでした。悲劇的な音楽に感情が揺さぶられます。

そして放たれる熱線・・・都市が破壊されていく所のシーンの迫力に圧倒されました。

エヴァ!


作戦のシーンは、エヴァでおなじみの

ダーンダーンダーンダーン、ダンダン!(太鼓)

が流れますが、つい心の中でチャーチャーチャチャチャーチャチャーチャーチャ♪のメロディーを待ってしまいます(笑)

綾波レイのような無表情で不思議な雰囲気の女性や、アスカのような勝気でグングン進んでいくタイプの女性が登場したり。

ていうか、ゴジラ=使徒ですよね・・・。(夫は全然違う!と言ってましたが)
「人類の脅威」的な意味では一緒だと思うのです。

色々な解釈の余地

庵野監督作品の多くに言えることだと思うのですが、意味深なシーンに様々な解釈の余地があって、鑑賞後議論や深読みネタが様々出ていてまた面白いです。

・牧博士の行方

・ゴジラの尻尾のゴチャゴチャした形状、人の形とも取れるような・・・?

・ゴジラが分裂増殖する可能性の示唆?

などなど。

「シンゴジラ」と「春と修羅」

そういえば、宮沢賢治の『春と修羅』がクレジットの資料協力にありました。読んでみたんですが、む難しい・・・。

・博士の内面の示唆?

・過去の蓄積が今を作るという示唆?

・人間を修羅に見立てた?

これも色々な見方ができますね。様々な意見を聞いてみたいです。

まとめ

ネットでは絶賛派・批判派様々な意見があり、読んでいてどちらの意見も大変興味深く面白いです。

ちなみに自分はヤシオリ作戦の呼びかけのシーンが一番感動しました。

シンゴジラを見た後にオススメの漫画・アニメ

  • 新世紀エヴァンゲリオン

個人的にシンゴジラを観た後、エヴァが観たくなりましたね。

  • ふしぎの海のナディア


これも。ちょうどHuluで全作観れる様になっていました。ものすごく久しぶりにこの間第一話観ましたよ。

  • アオイホノオ

庵野秀明永遠のライバル(?)島本和彦先生の自伝的作品。原作はまだ続いていますが、ドラマの方は完結しています。

若者にありがちな「己の才能への過剰な自信」を持つ主人公焔モユル(若き日の島本先生)が天才・庵野秀明(もちろん実名で登場します)と出会いつつ様々な挫折・経験・成長が濃ゆく濃ゆく描かれています。

ドラマでは若き日の島本先生を柳楽優弥、庵野英明を安田顕が演じています。柳楽くんの怪演が見所。ヤスケンもすごく良い感じ。

そういえば、新宿のバルト9では、そんな心の叫びを叫びたい放題の上映会があるようです(笑)楽しそうだ。

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